DOOS連載2007年10月

 中越沖地震が発生して3ヶ月。震災に関する様々な本が出版されています。その中でも今月紹介する 「海を抱いたビー玉」(山海堂のち小学館文庫」)は売り上げの一部を被災地復興のための義援金として、さらに被災者 の心のケアとして、物心両面から励ましてくれる本です。
 この物語は山古志村で被災した家族と少年が登場します。被災した直後の状況、自宅の倒壊、避難所生活、 仮設住宅。これまで小説としてあまり語られなかった被災地の現状と被災者の心情。どうしても悲壮感が 漂うところを、この作品は人間の心を持ったボンネットバスや手にしたものに勇気を与える青い不思議なビー玉を使うことによって、ファンタジーというオブラートに包んでいます。また被災地へ取材した 著者だからこその優しいまなざしと復興への励ましが感じ取れます。
 昭和40年の瀬戸内海の小さな島で、バスの運転手の親子の愛情によって魂を持ったいすゞBX341 のボンネットバス。やがて老朽化するなかで、広島県にある福山自動車時計博物館に助けられます。
そこでボンネットバス仲間に出会います。職人さんの手によって見事に修理された彼は評判を呼び、 そして、湯沢にある企業によって買い取られ、ついに新潟へ旅立つことになります。時代を超え、運命
に導かれながらボンネットバスが旅をしていきます。各地でボンネットバスの魅力に 取り付かれた大人たちと不遇にも負けず成長していくバスに乗る少年たちと出会います。 モノと人の心の触れ合いが、登場人物の傷ついた心を癒してくれると同時に読者の心も気持ちよい 感覚にしてくれます。
 廃車寸前のボンネットバスを蘇らせた職人の榎さんも湯沢の町おこしでボンネットバスを買った 森下企業の高橋さんも、みんな実在する人物で、たんなるフィクションではなく実話を元に作られてい
ます。フィクションとノンフィクションの間で織りなす優しく癒しのハーモーが心に響き渡ります。思わず幸せのため息をつく感動作。読み終わったら、現在も実際に走っている湯沢のボンネットバス に乗りたくなりますよ。

「海を抱いたビー玉」小学館文庫




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