2021年 12月

 携帯電話やメールが普及し、手紙を書く機会が減っています。作家にとって手紙を書くことは創作活動の延長上にあるようで、物語の世界では手紙がよく登場します。特に手紙好きな作家の一人に真保裕一がいます。「ホワイトアウト」「奪取」など代表作を数多くもつ人気ミステリー作家ですが、これまでの作品の中でも、「震源」「ボーダーライン」「発火点」「昔日」「流れ星の夢」「灰色の北壁」には手紙が重要な場面で挿入されており、相手に心情を訴える手段として効果的に使われています。新刊「追伸」では全篇手紙文だけで構成されています。この究極の往復書簡体は宮本輝の「錦繍」に代表されますが、手紙文だけですべてを語らなくてならないという制約のためか作家の描写力や文章力が問われることになります。
 この物語には二組の夫婦が登場します。山上悟は仕事でギリシャに赴任したものの、妻の奈美子は同行を拒否、一方的に離婚を切り出します。納得できない悟に対し、奈美子は祖父母の間で交わされた手紙のコピーを送ります。約50年前、祖母は殺人の容疑で逮捕されており、手紙には、悟と奈美子の関係を二重写しにするような、誰も知ることのない真実が語られていました。頑なな態度を貫く祖母と、無実を信じ奔走する祖父。ただ手紙の書き手の紡ぎだす言葉だけによってひたすらストーリーを展開していきます。解き明かされる真相には驚かされること必定です。
 時代とともに手紙が衰退する中で、夫婦の往復書簡だけで物語をまとめた真保氏が、デジタル社会への抵抗と、手紙の復権を本文で悟の言葉を借りて語っています。
「今という時代は、携帯電話が普及し、いつでもどこでも相手と言葉を交わせて便利この上ないのですが、その手軽さが陰をおろしているようでやはり口にする言葉には相応の軽さがつきまとっていそうに思います。その点、便箋に向かって一語一語選んでいく言葉は、思うがまま口にするより、わずかながら時間を費やした分、相手の胸へと確実に響き、残っていく」
思索を重ねた言葉の手紙には人の心を動かす言霊が宿っています。ミステリーと往復書簡を融合した真保文学の新たな金字塔。あなたも心を込めて親愛なる人へ手紙を書いてみませんか。

年末年始営業時間のお知らせ

12月31日(金) 10時~17時

1月1日(土)  休み   

1月2日(日)  10時~18時

1月3日(月)  10時~18時

1月4日(火)  10時~18時半

1月5日(水)  10時~18時半                           

1月6日(木)  通常営業

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